【第4回】「起業チャレンジ」を続ける意義
「起業チャレンジ」は今回の「起業チャレンジ2011」で4回目になりますが、景気にかかわらず、続けていく意義について語られます。
日本から世界へ展開する事業をもっと!
竹内
このご時勢なんで、ベンチャーキャピタルさんも大変じゃないですか。ベンチャーファイナンスもなかなかうまいこと行かずに。この状況で、4回も続けてらっしゃるのはすごいなと思うんですけど。
竹内
僕としては続けていただきたいなと思うんですが。社会的にもすごく意義のあることだと思うので。逆に、やめるタイミングがあるとすればどういうタイミングなんですかね。マイナス的なこと聞いてすみません。景気にかかわらず、ずっとやられるんですか。
羽物
「起業チャレンジ」を始めたのは、日本から新しい事業がどんどん興って、活気ある社会であってほしいな、日本発で世界に活気ある事業がどんどん広まっていってほしいなと思っているからです。
そのために「起業チャレンジ」が、ほんとに微々たるものですが、役に立てばいいと思ってるんですよ。そこに見切りをつけたらやめるかもしれないですね。
だけど、日本には可能性があると願っているので、続けたいですね。
「起業チャレンジ」を中国とか、シンガポールとか、東南アジアの学生を集めてやった方がいいのだということはあるかもしれないですよね。でもそこは(日本と海外を)天秤にかけるんじゃなくて、日本でもやるけど、そっちでもやるということでありたいなと思いますが。
竹内
「起業チャレンジ」の海外版も考えられているんですか?
羽物
はい、将来的にはありえますね。我々スカイライトは日本で事業をやっていて、コンサルタントも日本人ですが、それでいいのかというのが昨今の大きなテーマです。優秀な人は日本人に限りませんし、日本だけで事業をやるという時代ではなくなっている。クライアントは多国籍になっていて、ものづくりや調達など海外で行われ、オペレーションの設計やシステムこうしましょうというのも、我々が支援していくうえで、単一国民でいいはずがないですよね。
どういう形で世の中に貢献しうるような企業体であるのかを考えたときに、戦力になるなら国籍は問わないと考えています。日本で事業やるから日本語はできなきゃいけないと思いますけど。
いまインターンをロシアから受け入れていますが、国は問わず、ミックスな状態になるんじゃないのとも思います。その延長上で、オフィスなども海外展開とかもあるだろうし、「起業チャレンジ」に関しても「上海起業チャレンジ」とか「シンガポール起業チャレンジ」とか開催できると面白いと思います。優秀賞受賞者同士で、合宿やったりして、わいわいがやがやとやったりして、面白そうじゃないですか。
竹内
いいですね。夢がありますね。優勝したところがエグジットしてくれたらいいですね。そこがこけると、かなしいですよね。
羽物
そうですね。でも、まあ、事業はね、波風なく上手くいくことはなかなかなくて、意外と二番手、三番手のところがしぶとく生き残って大化けしたりすることもあるんですが。
でもさっき言ったみたいになったら面白いかなとは思ってるんです。
ビジネスプランコンテストの意義
羽物
本当はエコシステムができればいいなあと思うんですよね。
コンテストをやらずとも、起業家が投資家と出会えて、事業家とともに事業を進めて、ビジネスが広がって、成功したお金が新たなビジネスに回っていってくれるような、シリコンバレーのようなものができてくれればいいなあと本質的には思うんですけどね。
その刺激づくりとしてのビジネスプランコンテストがありますっていうことですね。
竹内
コンサルティングで、多くの企業を見てきたスカイライト コンサルティングさんが少なくとも何らかの評価をして実際にお金を入れているということが大きいですよね。次に投資しやすいですもんね。
羽物
「なぜこのチームか」というのは、スカイライトとしての理屈があります。これがいいんだ悪いんだというのは気持ちの部分で様々ありますけど、コンサルタントなんで、もちろんそこのところは、理屈を組み立てています。役員全員で合理的に。
逆に優秀賞から漏れるチームにも理由を説明しています。
最終審査に残るのは、だいたい3チームなんですよね。そこから、お金を出しますというのは1チームか2チームなんで、残りの1チームは、ダメというより、このタイミングではないというのも含まれます。
「起業チャレンジ」のコンセプトは、受賞後は「起業の準備をしましょう」ということです。「そこまで至っていない、いいアイデアだけど、もう少し準備が必要なこともあるよね」というフィードバックになり、アドバイスをして見送ることもあります。「将来的にはチャンスがあって、それにはここがポイントになるよね。継続的にここをやった方がいいよね」という形で伝えるようにしています。
ダメかどうかなんて分かんないじゃないですか。
竹内
分かんないですよね。ダメなところが出て行ったりすることもありますからね。
羽物
ここがポイントになるし、マーケットを広げるにはここが難しいところになるんじゃないかというのも出てくるとは思うし、そこを実験的にトライアルで小さくできればいいんですが、なかなかコンテストの期間中にそこまでできるチームも少ないですから。そうすると、今回、ここはもう少し試してやった方がいいんじゃないかというアドバイスも含めて見送ったりもありますよね。でもそれが「ダメ」とは言い切れない。
竹内
ソーシャル翻訳を展開している(株式会社)エニドアも、起業チャレンジの最優秀賞でしたよね?
羽物
彼らはやっぱり我々がきっかけを作って、それだから始まったと思います。1年くらい経てば自分たちで始めていたかもしれないですけど。
竹内
彼らにとってはいいきっかけになったと思いますし、知名度も全然変わってきますし。
彼らもちょうど今、いいお話が来ているみたいですね。
羽物
いまが勝負時なのかなと思いますね。いいお話の中で、上手く事業が広がっていくモデルが実現できればいけるのかなと思いますね。
竹内
翻訳系のビジネスは成功例が少ないので、ぜひ新しいモデルを作ってほしいと思います。
「起業チャレンジ2008」受賞者のアゲハもいいですね。
羽物
頑張っていますね。サイトも新しくなって、新しい商品企画モデルもできてきて、次のステージに入ってきていますね。
竹内
そういう過去の受賞者の方々が集まったコミュニケーションとれる場ってあるんですか。
羽物
毎年の「起業チャレンジ」最終選考会と懇親会くらいですかね。面白いのは、過去の受賞者と今回の応募者が語り合っていますね。
羽物 俊樹(ハブツ トシキ)
スカイライト コンサルティング株式会社 代表取締役。英治出版株式会社 社外取締役。
慶應義塾大学理工学研究科修士課程を修了。アンダーセン・コンサルティング(現・アクセンチュア)を経て、2000年、同志数名と共にビジネスコンサルティングを手がけるスカイライト コンサルティングを創業。現在では100名以上のコンサルタントが在籍し、事業領域を拡大している。同社でプロフェッショナル人材の育成に尽力し、訳書には『選ばれるプロフェッショナル』(2009年、英治出版)がある。週末には、地元小学校のサッカーチームの監督としても活躍。