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これからのモバイルインターネット業界、どういう時代になるのだろうか。
9月30日、エンジェル投資家や事業会社、起業家らが集うネットワーキングイベント「Innovation Weekend」にサイバードホールディングス 代表取締役社長兼グループCEO 堀 主知ロバート氏がゲストとして登壇。モバイル・インターネット業界の過去10年とこれからの展望について語った。

「ぬるいお湯に入ってた人たちはみんな負けちゃった」
1998年に創業したサイバードホールディングス(以下サイバード)は、携帯電話向け公式コンテンツプロバイダーとして急成長し、2000年12月には株式を公開。i-mode時代のリーディングカンパニーとしてモバイル業界を牽引した。
「当時は平和な時代。僕らの業界の人たちと通信事業者、端末メーカーの人たちが毎晩集まって飯食ったり、飲んだり。『携帯でこんなんできたら面白いんとちゃう?』ていうような要件定義を楽しくやってました」
必然的に出来上がった通信キャリア、端末メーカーとの蜜月な関係。次の携帯電話がどうなるか、どんな機能が付加されるのか、誰よりも先に知ることができた。誰よりも先に新しい端末にぴったりのサービスを作ることができた。
「そういう先行者メリットというものを享受しつつ、サイバードという会社は成長できたんだと思います」
しかし、5年ほど前に転換期がやってきた。
「キャリアがクロズードネットワークの支配権、コントロール権を少しずつ減らしていって、特別扱いというのができない時代になってきた」
モバイル業界のオープン化が進み、ディー・エヌ・エーやグリー、ミクシィといったインターネット企業が台頭してきたのだ。
「キャリアの人と机の下で握手しながら、うまいことやってきた。魑魅魍魎(ちみもうりょう)のルールのない(インターネットの)世界で戦いをしてた強い人達が、クローズドのぬるいお湯の世界で勝負をしていた僕たちの世界にやってきた。そして、ぬるいお湯に入ってた人たちはみんな負けちゃった」
「ネットのプレイヤーたちがあまりできなかったこと」として、海外企業のM&Aなどもおこなったがうまくいかなかった。
「海外進出したすべての日本の会社が失敗したんやないですかね。総額キャッシュで一千億くらい損したようなイメージがあります。ぼくらも100億くらい損しました。がんばって取り返してます、今」(堀氏)
2007年3月期、同社が計上した最終赤字は約78億円。株価も低迷した。同年10月、MBOの発表をおこない、2008年3月、CJホールディングスの完全子会社となり、上場廃止にした。

「業界はこの半年で10%くらいのユーザーを失った」
サイバードは、主力の携帯コンテンツ事業がサチレーション(飽和)を起こし、成長を描けなくなっていった。「どないんすんねん」となったとき、事業、会社、世の中の本質とは何か、もう一度原点に帰ろうということになったという。
「会社というのはどこも同じ競争しとんねんなと。要するにひとりでも多くのひとに一個でも多くのモノやサービスを売る競争をしている。世界中の会社はひとりでも多くの人から1回でも多くの『ありがとう』の競争をしてはんのんとちゃうかと」
延べ1600時間を費やし、たどり着いた答えは、ITを力に実業をおこなうコングロマリットの形成だった。
「GEという会社は金融理論を武器に一大コングロマリットを形成しました。サイバードはITという力を使って、そういう会社になれたらいいのになぁということを今は考えています」
その第一弾として、堀氏は11月にソーシャルECサイト「STOCK STYLE.jp」をスタートすることを明かした。アパレル業界が抱える悩み「在庫」を解決するサービスだ。類似サービスには高級ブランドが安く買えることで人気を博する招待制ファッションサイト「ギルト」があるが、その「ギャル版」といえる。
150ほどのブランドを集め、日本のトップモデルを起用。TVやfacebook、リアルイベントなどと連携を図り、在庫品の安売りでもブランドイメージ、価値を損なわない仕組みを考えた。
代官山のオフィス1Fに作ったイベントスペース「Theatre CYBIRD」には、正式スタートを前にテスト形式でリアル店舗を設置。イベント的に7割引で販売をおこない、1日100万円程度を売り上げた。
「(1日で)1ブランド100万円売上ることができて、150ブランドあったら・・・」とソロバンをはじく。
「これは実業」と堀氏はネットのサービスで完結することでないことを強調し、今後もリアルの実業と繋がっていくようなビジネスを考えていくと明言した。
一方、サイバードの主力は今も携帯コンテンツ事業に変わりない。しかし業界における携帯コンテンツサービスの会員数は減少の一途。ユーザーがスマートフォンに切り替えると、会員も自動解約されていくのだ。
「業界はこの半年で10%くらいのユーザーを失った会社が多いです」
ところが、サイバードのユーザーは増えているという。「現場が育ってきた」と堀氏。組織が自発的に動き始め、増収、増益だと胸を張った。

「facebookは世界のみんなが使うプラットフォームになる」
「やばい・・・眠れない。やりたいことだらけで・・・」
7月、堀氏は「第三次インターネット革命」と題して自身のfacebook上に高ぶる気持ちを書き込んだ。その源泉はソーシャルネットワークにあったという。
「facebookってね、オープンインターネットやと思ってたら大きな間違いなんですよ。facebookは、i-modeと一緒のクローズドインターネットなんですよ」
インターネットにはルールがない。しかし、クローズドネットにはオーナーが存在し、そのオーナーによってルールが決められる。
「なんや、i-modeのあれをやったときと同じやり方をしたらええんや」
i-mode 黎明期よりサイバードが築き上げたキャリアとの蜜月な関係。机の下でがっちりと握手しながら急成長を遂げた成功モデルとシンクロした。
「握手しましょう」
早速、フェイスブックジャパンの扉をノックした。
サイバードは今、「fb.developers'+」というfacebook開発者のためのサポートサイトを独自に手がけている。これまで英語でしかなかったfacebookの開発に関連する情報をリアルタイムに近い形ですべて日本語に翻訳し、Q&Aやフォーラムなども設けた。日本語ドキュメントの不足が、日本で立ち遅れている要因のひとつだと考えたからだ。
「ギブアンドテイク。このタイミングでそいうことをできる会社が可愛がってもらえる会社」だと堀氏は話す。
もちろんすべて持ち出し。コストは掛けれない。そのため、いつもお好み焼き屋で飲んでる仲間だという堀氏が率いる大学生部隊「チーム・ロバ」から同プロジェクトへの参加メンバーを呼びかけた。
「こういうのやりたいやついない? 日本一facebookをわかってるやつになるで。そして、日本中のやつがお前を日本で一番facebookがわかってるということを知ることになる。就職なんかどこでもできるようになるで」
8月後半からスタートした同プロジェクト。既に1年間分の広告スペースがすべて埋まり、「間違いなく日本中のfacebookをやる日本の技術者が見にくるサイトなんです」と自信をみせる。
facebookは、i-modeと同じクローズドインターネット。i-mode時代との違いは、「(キャリア)一社一社と話をしなくていい。国ごとにどうこうを考えなくてすむ」などのメリットをあげる。
「世界のみんなが使うプラットフォームになる。facebookページは最終的にその人や会社のオフィシャルのランニングページになるイメージを持っている」
そう堀氏は期待を寄せた。

fb.developers'+
http://fb.dev-plus.jp/
株式会社サイバード
http://www.cybird.co.jp/
【これまでのInnovation Weekend】
優勝はバーチャル農園の「テレファーム」〜 Innovation Weekend
http://www.venturenow.jp/news/2011/08/01/1123_013710.html
未来のeスポーツ、エウレカコンピューターが優勝 〜Innovation Weekend
http://www.venturenow.jp/news/2011/06/28/1949_012747.html
優勝は、イベント管理・チケット販売の「PeaTiX」〜 Innovation Weekend
http://www.venturenow.jp/news/2011/05/24/1244_012004.html
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