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昨年末から、米国リンデンラボ社が運営するネット上の仮想空間「Second Life(以下SL)」へ日本企業が相次いで参入している。そのほとんどは、日本語版SLの開始後に急増するであろう日本人ユーザーをターゲットとしたビジネスモデルだ。
ところが、4月からスタートと囁かれていた日本語版SLが、一体いつからスタートするのか、また日本人ユーザーがどの程度参加するのかといった情報に関して、SLへ参入した企業ですら充分に把握できていないのが現状のようだ。それでも、SLへの参入支援事業を手掛ける企業は短期間で着実に収益を上げている。ネット上の仮想空間「Second Life」に絡む国内のビジネス動向を追った。
活況を呈する参入支援事業
参入支援を行う企業は、法人/個人がSL内で活動するための土地確保をベースに、土地のレンタル、SL内の建物や装飾品といったアイテム等のコンテンツ制作や決済を含めた企画コンサルティング事業を展開している。SLに興味のある企業が持つイメージを具現化するための業務全般を請け負う。その参入支援事業はいままさに花盛りの活況を呈している。
SIM(SL上の土地区画)プロジェクトの企画立案からコンテンツ制作までこなす株式会社メルティングドッツ(本社:東京都新宿区、代表:浅枝大志)は、2006年11月の設立ながら既に単月黒字化を実現。SL内の居住区レンタルやリンデンドル(SL内の仮想通貨)の両替業等に携わる株式会社ジップサービス(本社:東京都江戸川区、代表:白澤正年)は4月現在で、法人/個人を合わせて約300件の賃貸契約(うち1/3程度が法人)をもち、SLにおける同社の総投資額約1,000万円の7割を3ヶ月程で回収している。ミクシィやセシール等のSL参入支援実績をもつ株式会社メタバーズ(本社:東京都世田谷区、代表:島谷直芳)も含め、随時、日本人居住区の提供を予定しており、そのペースは一向に衰えそうにない。
参入支援企業と連携した代理店事業
前出した3社を中心とする参入支援企業が提供する日本人居住区をベースに、新規のクライアントを獲得する代理店業も非常に盛んだ。サイバーエージェント子会社でゲーム内広告代理事業を手掛ける株式会社アドプレイン(本社:東京都渋谷区、代表:川村佳央)をはじめ、SL内の広告販売及び企業参入支援の「SecondBuzz!!」を展開する株式会社モバイルファクトリー(本社:東京都目黒区、代表:宮嶌裕二)等は、企画段階からサポートすることでSL参入を検討する企業を取り込む。モバイルファクトリーのSL担当者によると同社が抱える案件は、先に出店を手掛けたブックオフコーポレーション/パルコを含め10数件、問合せベースでは50~60件にも上り、業種は様々ながらナショナルクライアントが多数を占める。
日本語版SLはまだか。SL日本人アクティブユーザーは1万人弱
参入企業が後を絶たない盛況さと裏腹に、SL内の日本人ユーザーを対象とした各社の店舗/支店にはほとんど常駐スタッフがおらず、まるで遺跡のようにその形骸をとどめている。2007年4月時点でのSL居住者は500万人にまで達しているが、メルティングドッツは日本人ユーザー数について、「昨年リンデンラボ社から出されたレポートを基に、現在の日本人ユーザー数を算出するとおよそ6万~7万人。ただしアクティブユーザーとなると、その2割程度の1万人弱だろう」と話す。
実際、3月に参入した株式会社セシール(本社:香川県高松市、代表:佐谷聡太)は、「まずは話題性の高さ、他社に先駆けて進出することが重要だった。将来的にはSL内での通販業務を計画している」とその出店理由について話すが、今後の具体的なスケジュールに関しては、「正直、日本語版SLがいまだ開始されていない事もあり、明確な回答はできない」と言葉を濁す。日本語版SLがいつ開始され、SL内の活動をどのように本格化させるのか、これはセシールだけでなく参入企業共通の悩みのようだ。
日本語版SL開始に先駆けたユーザー取り込みの活動
先日、SLに参入するベンチャー企業を対象に支援サービスを開始すると発表したネットエイジキャピタルパートナーズ株式会社(以下NCP、本社:東京都目黒区、代表:小池聡)は、メルティングドッツと業務資本提携を行い、メルティングドッツ運営の「Meltingdots SIM」にNCP支店を開設している。NCP支店の運営はおもにメルティングドッツが行う模様で、SLに関する情報提供やベンチャー事業の受付け業務に従事する。
さらにメルティングドッツは日本語版SL開始に先駆け、新規日本人ユーザー向けのSL入会登録サイトとチュートリアル施設サービスの「MELTINGDOTS NEWBIES POTAL(以下MNP)」をリリース。登録手順を含め日本語による情報提供を行っている。同社はリリース意図について、「ここで登録したSLユーザーのスタート場所は皆一様にMeltingdots島からとなる。これによって、個人/法人にとって有益な場を提供する日本語版SLにおけるポータル化を狙う」と語った。
既存ユーザーの利便性から、SL内アイテムの売買取引モールを展開する有限会社インシエメ(本社:東京都豊島区、代表:山岡慎哉)や、SL内情報の発信/交換を目的としたブログ開設ポータル「SLMaMe(SecondLife Map and Memory)」を企画したメタバーズ等も今後ポータル機能に特化する方針だ。
日本人ユーザーが少ないことを逆手にとる
多くの企業が、日本語版SLの開始後に急増するであろう日本人ユーザーや新規SL登録ユーザーに向けたサービスを想定している一方で、既にSLへ積極的に参加している日本人ユーザーに目を向けたサービスを展開する企業も存在する。日本人ユーザーがまだ少ないことを「情報に敏感で熱心なユーザー」「一定のインターネットスキルを備えたユーザー」として逆手にとる戦略だ。
具体的には、株式会社コスモ・コミュニケーションズ(本社:東京都港区、代表:枝廣宇人)が、感度の高いユーザーに向けて、SL内で著名なファッションリーダーとファッションイベントをプロデュースしているほか、株式会社ミクシィ(本社:東京都渋谷区、代表:笠原健治)が同社のSL内インフォメーション施設から、進取の気性を持った「アーリーアダプター」層に向けた新卒採用の情報提供を行う等、新たな試みに取り組んでいる。
日本語版SLの開始後も油断は禁物
いずれにしても、ほとんどのSL参入企業にとって早期の日本語版SL開始が命題であるが、それだけではない。開始した後でも、CGコンテンツの制作事業などを手掛ける株式会社スプリューム(本社:東京都港区、代表:梶塚千春)が3月にリリースした国内向け仮想空間「splume」や、今秋に公開予定のPS3用仮想空間「HOME」といった競合仮想空間サービスの動向、さらには個人ユーザーが参加する際にハイスペックなPCを要求される等々、乗り越えるべき課題は幾つもある。既に多くの企業が参加していることからも伺えるように、非常に興味深いサービスであることに変わりない。今後の展開すべては米国リンデンラボの胸三寸といったところか。
Second Life
http://secondlife.com/world/jp/
株式会社ジップサービス
http://www.gipservice.com/
株式会社メタバーズ
http://www.metabirds.com/
株式会社メルティングドッツ
http://meltingdots.com/
株式会社モバイルファクトリー
http://www.mobilefactory.jp/
株式会社アドプレイン
http://www.adplayin.co.jp/
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