Home - Interview - 「モバイルにおける情報の“コンシェルジュ”となる」株式会社CLON Lab 代表取締役社長 中山小百合
October 27 , 2008 16:36 takety  
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起業は 2度目という株式会社CLON Lab 中山社長。「まさかまた起業するとは」とする一方で“今回こそ”という想いは強い。ユーザーの趣味/嗜好を反映した分身「クロン」を生成する携帯向けコミュニティーサービス「CLON(以下クロン)」を展開。「こういうのがあったら“本当にいいな”」という信念を持っているという中山社長。起業に至った経緯と今後について話を聞いた。

「モバイルにおける情報の“コンシェルジュ”となる」

2008年10月7日、株式会社CLON Lab(以下CLON Lab)代表取締役社長 中山小百合氏は、記者会見上のプレゼンテーションで宣言した。

「モバイルにおける情報の“コンシェルジュ”となる」

モバイル利用の目的の 60.7%は、“情報検索” (CLON Lab 調べ)。一方で、検索しても「(欲しい情報)に行き着かない」「(検索結果が)自分にフィットしない」「比較検討し辛い」など、モバイル検索には、多くの課題がある。中山社長は、そこに商機を見出した。

CLON Lab が手掛ける携帯向けコミュニティサービス「クロン」は、携帯の中にいるユーザーの分身「クロン」との対話や閲覧したコラムなどから蓄積した個人の趣味/嗜好、基本となる属性情報をもとに、ユーザー個々に最適と思われる情報を提供するサービス。ユーザー単位でレコメンドするので情報の精度は高い。

「こういうのが合ったら“本当にいいな”という信念を持っています」


「人の縁に恵まれた」

CLON Labは、2007年11月1日に設立。もともとは、中山社長が前職の株式会社レッド・エンタテインメント時代に新規事業の一つとして、「SNSが市場を席巻している最中、次に来るのはなんだろう」と考えて立ち上げた社内プロジェクトだった。

「既存メディアとの組み合わせによって、より面白いことができる」

そう考えた中山社長は、以前からリクルート社に興味を持っており、「R25と組んだら面白い」と話を持ちかけた。

「面白いね、やりましょう」

話は急展開していく。いつしか社内プロジェクトの域を超え、新会社設立へと発展。当初は「起業なんて考えていなかった」という中山社長だが、「人の縁に恵まれた」結果だと感謝する。


業務提携、資本提携は積極的におこなっていく

CLON Labは、設立後すぐに前職の株式会社レッド・エンタテインメントをはじめ、株式会社リクルートインキュベーションパートナーズ、インキュベイトキャピタルパートナーズから資金調達する。また、2008年3月25日には、株式会社アイフリーク、ngi capital株式会社から総額 6,000万円を調達。

さらに、中山社長自身による増資を挟み、2008年8月25日にも新規事業投資株式会社、楽天ストラテジックパートナーズ株式会社、株式会社リクルートインキュベーションパートナーズから総額 1億4,000万円を調達。資本金は、1億5,000万円(準備金 1億4,895万円)にまで膨らんだ。

「協業のチャンスがあれば、クロスメディアを視野に適時実施していく」

今後もニュースサイトなどを中心に業務提携、資本提携を積極的におこなっていく考えだ。


2009年9月期中の単月黒字化を目指している

CLON Lab が提唱する「PUSHメディア」は、ユーザーにとって必要な情報だけを集めてくれる機能を提供すること。ユーザーにフィットした情報を“PUSH”し、単なる情報提供だけでなく、それをもとに“気付き”を与えることで、ユーザーの自己再発見を促すのが狙い。

mixi がリアルコミュニケーションの情報発信型に対して、「クロン」は、受動的な情報収集型のコミュニティー。「競合はいない。mixi とかとは遊び方が違う」とし、「mixi 等でコミュニティー疲れしたユーザーに利用してもらえれば」と自信を見せる。

ビジネスモデルは、ユーザー課金、広告、ASPの 3つ。

通常時のユーザーのコラム閲覧率は 31.29%だが、「クロン」が最適と判断して“PUSH(推薦)”したコラムの閲覧率は 68.71%(計測期間 9/25から9/30)。高い広告効果が期待できることは実証済みだ。

サービス開始から 2カ月にも満たない 2008年5月27日の段階で、総PV数 500万PV、会員数 15万人を超え、同年9月には、総PV数 3,800万PV(累計)に達した。2008年9月期は投資段階と位置づけ、まずはユーザーの獲得に注力し、2009年9月期中の単月黒字化を目指している。


“まっち棒”マン「クロン」

「自分のことを誰よりわかってくれる分身なんです」

中山社長は、携帯向けコミュニティサービス「クロン」の特徴について強調する。

いつでもどこでも持ち歩く携帯の中にいる自分の分身「クロン」。一緒に遊んだり、面白い情報を持ってきてくれたり。使えば使うほど「クロン」の精度が上がり手放せなくなる。

そんな「クロン」のパッと見は“まっち棒”マン。

「気持ち悪いと言われたこともあります」と苦笑するが、より“シンプル”な形にすることで飽きをこなくする。また、ユーザー層の多くは 25歳以上の大人。「あの形だと電車内で開いても恥ずかしくない」。さらに、多彩なモーション、独特なアクションスクリプトもあの形だからこそ可能にしてくれているという。

アバターのような見た目の華やかさではなく、「クロン」は、よりシンプルに、そして中身で勝負していく。




「やりながらブラッシュアップしていきたい」

「クロン」は、ユーザー登録時に、いつも自分が呼ばれている呼び方を「クロン」に名づけるよう促される。「語感分析技術」により、そこで名づけた名前(通称)でクロンタイプが決まり、自分だけの「クロン」が誕生する仕組みだ。

また、「クロン」と対話することで、人工対話エンジンと嗜好学習型レコメンドエンジンにより、自分の趣味/嗜好を学習し、いつでもどこでも自分のためだけに情報を持ってきてくれるようになる。ユーザーの「クロン」同士で友人関係を形成したり、「クロン」自身が日記もつける。自分の暇な時間を埋めてくれる、それが「クロン」の目指すところだ。

「まだまだやりたいことはあるが、やりながらブラッシュアップしていきたい」

そんな中山社長の「クロン」の通称は「SALLY(さりー)」。「クロン」タイプは、「“光”スター度No.1」。今流行りの社長ブログはやっていないが、「SALLY」の日記を中山社長のブログ代わりに公開するアイディアは面白いかもしれない。


「良い人との出会いが原動力になっているかな」

CLON Labのオフィスは、地下鉄九段下駅とJR飯田橋駅を繋ぐ目白通りのちょうど中間付近にある。

「飯田橋は、いろんな乗り継ぎが重なり合っていて便利。自宅からも近いんです」

通勤には自転車を使っている。あまり人見知りしないという中山社長は、海外旅行と食べることが大好き。今、休みの日にハマッていることは“ホットヨガ”。「集中力が増して、オン・オフの切り替えがうまくなった」

仕事で重視しているのは、スピードとクォリティー。「いかに効率よくやるか。朝、きっちり来て、気持ち良く集中して仕事をする」

従業員の採用におけるポイントは、“チャレンジ精神”。

「新しい事業をやろうとしているところなので、イノベーションに敏感でないとだめ」

あとは、面接をして「一緒に仕事がしたい」と思えるかと、コミュニケーション能力が高いかどうかに注目している。

設立してまだ 1年未満。

「良い人との出会いが原動力になっているかな」


「インターネットビジネスに関わりたい」

中山社長の出身は福岡県。大学(西南学院大学経済学部)時代は放送研究会サークルに所属し、卒業後は「TV番組の制作に携わりたい」と数百倍の難関を突破して株式会社ポニーキャニオンに入社する。

当初は、フジテレビを志望していたが採用枠がなかった。でも、同グループのポニーキャニオンなら「ひょっとして制作に携わることができ、将来、グループ間で転籍も可能かも」と考えた。

「あまりにも面白くて」と、結局ポニーキャニオンには11年間在籍。

「よそと同じ様なことをやって勝負していくのではなく、今までにない新しい体験、エンターティメントを提供していく」

これは、ポニーキャニオン時代に染み付いたもの。

一方、インターネットに可能性を感じたのは、94、95年頃。インターネットライブのプロジェクトに携わったのがきっかけだった。

「インターネットビジネスに関わりたい」

そして、ポニーキャニオンを退社後は、検索ポータルサイトのインフォシーク(現、楽天株式会社)に入社。コミュニティーサービスの面白さに触れる。

「これだと思った」


経験をプラスにするために

2000年、インフォシークからDPE(Development Printing Enlargement)大手の株式会社プラザクリエイトに転職した中山社長。写真とコミュニティーをキーワードにした新事業を立ち上げ、2002年3月にプラザクリエイトの100%出資子会社、リクリ株式会社を設立。代表取締役に就任する。

当時はまだ写真を使ったコミュニティーサービスがなかった。業績は 2003年3月期売上高 7,700万円、2004年3月期売上高 9,100万円と推移。先行投資で億単位の赤字を計上するも売上高は順調に伸びていた。

しかし、2004年8月、親会社のプラザクリエイトと吸収合併という形で会社をクローズドしてしまう。すべては“本業に注力”という親会社の意向だった。人もゼロから集めた会社を志半ばでたたまなければならなかった当時の心境を「断腸の思いだった」と振り返る。

「人生、長い目で見ると、どんなことでもプラスになる」

当時、親会社社長からもらった励ましの言葉だ。

そして今回。

「まさか、また会社を立ち上げるとは思ってもいなかった」

ただ、あの時の経験があったから“今回こそ”という想い、情熱は強い。

「今回の事業は必ず市場を取って行きたい」

あの時の経験をプラスにするために。

取材日 2008/10/16

ベンチャーデータベース株式会社CLON Lab

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