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Webの解析・分析ツールのリリース、導入が相次いでいる。リスティング広告(検索連動型広告)の普及で、現場レベルのマーケティングに対する意識が高まったことがその背景にあるようだ。システム管理者の「ログ解析」から、マーケティング知識/戦略を持った人材が担当すべき「Webの解析・分析」へと移行している。ログの蓄積で終わらせず、蓄積されたログを如何に分析し、実際の販売/活用に繋げるのか。マーケティング担当者はもちろん、Web制作、広告担当、営業現場に至るまで、ベースとなる指標や技術、考え方の習得は、もはや避けられない状況と言える。今回、2003年から国内にて累計2,200件(2005年7月現在)ものWebマーケティング分析ソリューションを提供してきたデジタルフォレストの全面協力を受け、具体的な活用事例を踏まえつつ、Webの解析・分析で重要となる考え方、最新技術を4回の連載によって明らかにしていきたい。
 
 
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「Visionalist」  http://www.visionalist.com/


目次


[ 第3回 ] 進化するWeb制作現場。マーケティング要素抜きにサイトは作れない

 マーケティング部門、宣伝部門、経営企画部門を中心に情報システム部門まで含めた部署が、Webの解析・分析ツールの導入に積極的であるという販売代理店の話を第2回でレポートした。同時にWebマーケティング分析ツール「Visionalist」を導入し、販売代理店の支援を得て資料請求数が倍増した金融機関や老人ホームの成功事例も紹介した。

 リスティング広告などによって閲覧者は増やせても、目的のページにたどり着けないといったサイト自体に問題があった事例である。Webマーケティング分析ツールを使うと、そうしたサイトの現状を明確に数値化でき、原因となる問題点を把握できる。それが的確な改善につながったのだ。

 こうした成功事例を知るとWebマーケティング分析ツールは広告の効果を計り戦略を立てるという側面だけでなく、目的のページに閲覧者をスムーズに誘導するためのサイト制作の必需品といった印象も強めたに違いない。

 そこで、独立系大手Webインテグレーターの(株)ミツエーリンクスWebコンサルティングカンパニーHCD(Human Centered Design)コンサルティングチームのWebアナリスト西川季宏氏と矢野絵美氏に、サイト制作におけるWebの解析・分析事情について伺った。

◆きっかけはサイトのリニューアル制作現場におけるWebマーケティング分析ニーズ

 ミツエーリンクスは3年以上前からログ解析サービスを提供している。その経験から近ごろ実感しているのが、サイトリニューアル時にWebマーケティング分析を行いたいというニーズの高まり。現状をきちっと解析・分析した上でより良いものにしたいという要望である。過去は捨てて一新したいとか、サイトは格好よく存在するものだからデザインや使いやすさに注目していればよいという考え方は昔話になりつつあるようだ。

 西川氏はこうした変化について次のように語る。

 
西川秀宏氏と矢野絵美氏
(株)ミツエーリンクスwebコンサルティングカンパニー
HCDコンサルティングチーム Webアナリスト
西川季宏氏と矢野絵美氏

 「極めて正攻法なリニューアルの要望が増えています。お客さまのWebに対するリテラシーが高くなったこと、そして、Webのマーケティング効果が3年前と明らかに違うというのが大きな理由です。

  数字を把握してこなかったので見てみたい。リニューアル後も数字を追いかけていきたいという声がかなり大きくなったと実感しています。運用における定点観測(解析・分析)レポートは、昨年から今年にかけて3~4倍に増えていますし、リニューアル案件の中で1割程度だったログ解析のニーズが今では約2倍になっています。マーケティングという言葉がWeb世界でも、担当者に刺さってきたという感じです」

  西川氏によれば、大抵のクライアントは、Webサイトへのアクセスログまでは見ているという。だが、思うような結果に繋がらなくても、なぜそうなるのか理由がわからない。という実態が浮かんでくる。

 上手く行かない場合の理由を探す手がかりは、一体何処にあるのだろうか。

 まず、そのサイトに「誰が(どんな人が)、どのくらいの割合で訪れ、どんなページを見ているのか」といった閲覧者の実態を知ること、つまり、Webマーケティング分析をする必要がある。そして、その分析結果を基に、成果へ結びつかない原因(ボトルネック)を探し出し、仮説をたて、それを実行に移せば良いのだ。

 こう考えると、Webマーケティング分析の実施が、サイトのリニューアルや、その後の運用に大きく影響するというのも、自然と結びつく。こうしたWebを取り巻く状況の変化はサイト制作ができるだけでなく、Web解析・分析も行えるWebインテグレーターへの需要となって表れてきているのである。

 

◆閲覧者の足跡、ログを生きた情報にするために
 閲覧行動のサイトマップ化や閲覧相関図などで分析結果を形にする

 現状のボトルネックを探し出す基になる分析結果は、どのように導き出しているのか。ミツエーリンクスでリニューアル時に実施しているサイト診断のレポートを参考に、具体的な分析手法をいくつか紹介したい。

■アクセスサイトマップで人気ページを探る。トップページからのアクセスとは限らない

 図1は、1カ月の解析期間中の関係者を除くアクセス(閲覧)数を調べ、トップページから下層ページまでアクセス数が一覧できるようにしたアクセスサイトマップ図。SEO対策が盛んになり、最近はトップページよりも下層ページに閲覧数が多いページが現れることも多いという。ランディングページと呼ばれる、トップページとは別に用意された入り口など、SEO対策でヒットさせるべく戦略的に作成されているならば問題ないが、たまたま下層ページがヒットしているとしたら、そこを基点にサイト設計を見直すなど、他ページに誘導させる仕掛けの必要性が見えてくる。

図1 アクセスサイトマップ




■閲覧者の足跡から、サイトのページ(コンテンツ)間の導線を知る

 図2は、どのページとどのページが一緒に見られているのかがわかるカテゴリー別の閲覧相関図。閲覧相関図は同社独自のレポート形式で最近はカテゴリー間の移動方向も表示している。たとえば下層ページから入ってきてトップページに行き、会社案内を覗いて出ていくといった移動(閲覧)パターンや関心事、サイト構造の問題点などがわかる。

 
図2 閲覧相関図


■閲覧者は、その閲覧パターンから幾つかの系統に分けられる

 表1は、図2の閲覧パターン別にセグメンテーションした一覧表。製品情報をほぼ均等に閲覧している層、連載記事しか見ない層など、傾向別閲覧者数と閲覧ページで関心がわかる。もちろん、細かい閲覧パターンから大まかに系統立てることで、そのグループに対してどのような対策を練ればいいか、自然と浮かんでくるだろう。このほかにもグルーピングの条件は考えられる。たとえば資料請求した人はどういう動き方をしているのか、といった逆引き分析を行っても、サイト制作における新しい展開や戦術が見えてくるはずだ。

表1 閲覧パターン別セグメンテーション (☆-100%、◎-80%以上、×-50%未満)
閲覧タイプ
件数 3302 2059 2027 1080 239
割合 37.56% 23.42% 23.06% 12.29% 2.72%
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備考   お気に入りや検索で、目的のページに直接訪れ、他のページは閲覧しない。 連載記事のみ閲覧するユーザー。他のページは閲覧しない。 ほぼトップを閲覧し、ページをパラパラと閲覧した後、去ってしまうユーザーです。目的ページが見つからず迷っていると考えられます。 ソリューションを必ず閲覧するユーザー。他のページもいくつか閲覧している。 連載記事を必ず閲覧し、トップも訪れるユーザー。他のページは閲覧しない。

■IPアドレスから、クライアントを予測する

 BtoBサイトではIPアドレスの傾向分析なども有効である。来訪者の企業ドメインを知ることで、接触はないが水面下で関心を持っている企業が見えてくる。矢野氏は自社サイトの場合を引き合いにこう話す。

「弊社サイトの場合、あるIPのお客さまのアクセスが目立つようになってから、6カ月くらい経つと問い合わせがくるといった傾向があります。調べたり、他社との比較もあるでしょうし、評判を聞いたりもしていると思うのです。半年くらいを目安に、何かしらの案件に対して問い合わせが入ってきます。ログ解析は自社サイトの分析から知見を得ていますので、自社のWebマーケティングを実践した上でサービス開発をしています。実践的というか、泥臭いところもあります」(矢野氏)

 事前に相手がわかれば戦略を練ることも可能というわけだ。

 今回紹介した手法は、どれも分析ツールのデータを加工することで作成できる。「Visionalist」など、タグ方式の分析ツールのデータであれば導線の分析など、より正確な把握ができるだろう。ボトルネックを特定するための材料は、これである程度揃うはずだ。次の作業になる、仮説が立てやすいデータを意識すると、何を調べることが有効か、見えてくるに違いない。

▲モドル


 

◆ログ解析とユーザビリティ診断の合わせ技で
改善点を明確に、使い勝手を高めて離脱を抑える

 離脱率が高いのはなぜなのか、資料請求が伸びていないのはなぜなのか。ミツエーリンクスではその理由を探り当てるために先程のレポートに加え、同時にユーザビリティのチェックを行う。

 たとえばページに資料請求項目はあるけれどわかりにくい、配置が悪い、ラベリングが悪い、リンク関連はどうなのかなど、ログ解析の数字を見た上で原因をユーザビリティの観点から探っていくわけだ。

 こうした分析の軸となっているのが情報設計(IA:Information Architecture)に関する4項目とインターフェイス設計(UI:User Interface)関する4項目の合計8項目。これらをチェックすることによって離脱率の原因と処方箋を書くための仮説が立てられるのである。つまり、ボトルネックが見えてきたら、図3の8項目を一つ一つ見直していけば良い。

 
図3 キーワード


「検索エンジンにサイトを最適化することは、閲覧者にとって情報を最適化することでもあるんです。テクニックだけに走ってしまうと、結局サイトとしても長続きしません」(西川氏)

 本来、SEOも検索キーワードと最も関連性が高いページを見つけ出すための理論。IA項目の見直しは、自然とSEO対策に通じるわけだが、最終的には閲覧者にとっても、わかりやすいサイトへとつながる。なかでもIA項目の「情報の組織化」「情報の優先性」は、検索エンジンが読み込みやすくなるポイント。例えば、パン屑リストをしっかり作ることで、検索エンジンから見るとタイトルやサイトの構造、キーワードが際立ってヒットしやすくなる。
 つまり、ディレクトリーをキチッと整理すればアンカーテキストがきれいに並ぶので、閲覧者も自分の位置がわかりやすくなる。つまり離脱率を最小化するためにユーザビリティを向上させると、SEO効果の最大化にもつながるのだ。

 Webマーケティングを実践するためにWebの解析とユーザビリティ、SEOの3つの視点から織物を紡ぐように一つひとつ分析し、仮説を立てて検証していく。そうすることで効率が上がり効果も出てきて満足度も高まるというわけだ。

 


▲モドル


◆プル型で情報を提供するWebサイト 解析データから仮説を立て問題を解決する

 Webの解析、ユーザビリティ、SEO、3つの視点が絡み合いWebサイトの構築・制作にも大きな影響を及ぼすWebマーケティング分析。西川氏と矢野氏は、もう一つの切り口から、さらにその必要性を訴える。

 「メール広告などはプッシュ型ですが、Webサイトはプル型のマーケティング手法です。プッシュ型であれば、例えばメール広告を送りました、反応しました/しません。サイトにやって来たのは何パーセントです。と、ログ解析もシンプルです。ところが、プルのWebサイトは、様々なことが起こります。来ました、来ませんでしただけでなく、予想外のページに来たり、予想外の行動をしたりと奥が深い。わかりにくいといえば、わかりにくいかもしませんが、Webの解析データを時系列で並べてみるとか、ちょっとした工夫から閲覧者の姿やニーズが見えてきます。

 また、プルで目的を達成するには受け皿(仕掛け)を作らないといけません。たとえば、このニーズを持った人を呼びたい、このキーワードを調べた人に来てほしい。そのためにSEOを実施し、リスティング広告を行い、サイト設計もする。プル型のマーケティングですから、仮説を立てて考えないといけないんです」

 成果が得られない、頭打ちになっている・・・、問題を抱えたサイトを改善するためにWebの解析・分析ツールを使って原因を突き止め、リニューアルなどの対策に反映させる。言葉にすれば簡単だが、どこから着手してよいのか糸口が見つけられないままの時間が過ぎていくケースも少なくないだろう。それを如実に示しているのが、西川氏がいう「お客さまはトップページのアクセス数ほか一通りのログデータは見ている」である。

 数字を数字のまま放置していては数字に隠された情報は読み取れない。隠れた情報が見えるように工夫をしなければならい。つまり、今回ご紹介したように閲覧者やサイトに対してさまざまな仮説をたてて数字を整理整頓していくことが大切なのである。その一つがアクセスサイトマップや閲覧パターン別セグメンテーション表だった。

 数字が示すさまざまな意味を読み解く工夫や作業は困難で、経験もそれなりに必要に見える。だが、最終回の次回ではWebマーケティング分析ツール「Visionalist」を使い、一般企業の兼任Webマスターが自社サイトの改善に奮闘する姿をレポートしながら、「Webマーケティング分析は想像するほど難しいことではない」というポイントに迫ってみたい。

▲モドル


 

Webマーケティング分析基礎知識 その2

パンくずリスト サイト内で迷子にならないように、来訪者が上位からどこの階層にいるのかを示したもの。サイト内ではすべて同じ位置に表示させ、Webページの上部に表示されることが多い。名称はヘンゼルとグレーテルの童話から由来している。
(例) ベンチャーナウトップ>広告企画>Webマーケティング分析特集
IA
(インフォメーションアーキテクチャー)
情報を注入するものの構造の最適化を図るための概念。Webサイトは情報を集約して発信するためのコミュニケーションの場だが、構造が最適化されていなければWebサイトの来訪者とうまくコミュニケーションを図ることができない。Webサイトを考えるときに必要とされる概念の一つ。
UI
(ユーザーインターフェース)
ユーザーがシステムを使うために使用する入力画面やツール。人間とシステムとのやりとりを助けるのがユーザーインターフェース。使い勝手が重視される。
ユーザビリティ 使う人にとって、どのくらい使いやすいか、を示す指標。その測定方法は様々で、たとえばWebサイトのユーザビリティを測定する場合、グループインタビュー、ポップアップ調査、アクセス解析などを行い、様々な項目でサイトを評価する。Webサイトに人を呼び込むための広告やキャンペーンで投資しても、サイトのユーザビリティが悪いと、これらの成果が出にくくなる。

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