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インターネットビジネスの種

〜あたりまえの壊し方から
スカイライトコンサルティング株式会社 シニアマネジャー 小川育男
「ideaswatch」 〜 アイデアをみんなで磨くというアイデア
April 13 , 2011 19:04 Ikuo Ogawa  
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 FRISK のCMによると、アイデアが生まれるのはトイレの中が32%と最も多いらしい。では、アイデアが生まれた後はどうすればよいだろうか?さらに、それを起業や新規事業として形にするためには何が必要だろうか?

 今回は、「ideaswatch」という起業アイデアをシェアする場を提供しているサービスを紹介しつつ、その条件について考えてみたい。


ideaswatchとは?

 ideaswatchは、チェコ共和国のMaintop businessesという会社が非営利で運営しているサービスだ。創設者が「最大の特徴はシンプルさとオープンさだ」 と言っているとおり、サイトを見てもらえれば、一目で分かるくらい、その機能はシンプルだ。

(出典)
Look Out For Interesting Ideas On IdeasWatch.com(YOUNGUPSTARTS)


 まず、クリップで貼り付けられた付箋紙には、アイデアが一言で書いてある。クリックすれば詳細が見れるが、マウスオーバーだけでも内容を把握するのは十分だ。クリックした先の詳細画面では、3つの機能がある。DiscussionsとKnowledge base、Networkの3つである。

 では、それぞれの機能を順に見ながら、アイデアを形にする条件を考えていこう。


Discussions

 この機能は、要するに掲示板だ。なんてことない機能である。

 ここで、まず指摘したいのは、この機能に行き着くための条件、つまり、なぜあなたはこのアイデアが気になったのか?ということである。Discussionsに行き着くためには、付箋紙に書かれた一言、あるいは、マウスオーバーして出てきた短い文章で、ちょっと中身を見てみようという気にならないといけない。

 そういう気にさせるくらい、アイデアにインパクトがあり、それが短文の中で、しっかりと表現されている必要がある。これがまず大事だ。

 Discussionsをみていくと、当然のごとく賛否両論ある。面白いと共感をしているもの。つまらないと拒絶を示しているもの。この反応の受け取り方が次に重要なポイントとなる。つまり、共感をアイデアのプラス評価として、拒絶をアイデアのマイナス評価として素直に受け取って良いのか?という問題である。

 一般的に革新的なアイデアほど拒絶は多い。それは、単にぱっと見ただけの人には想像が及ばない場合もある(この場合は、表現の仕方が悪いのかもしれない)し、常識とかけ離れてて落ち着かない気分になってしまった結果である場合もあるだろう。

 逆に拒絶が少なく、共感が多いのは、本当にそのアイデアが人々の課題をしっかりと捉えたからかもしれない。つまり、拒絶が多くても、共感が多くても、アイデアがプラスに評価しうるといえるわけだ。

 要するに、ここでは共感にしろ、拒絶にしろ、反応が多いということが評価に値する。反応が少なければ、表現の仕方が悪いか、アイデア自体が人の気を引かないかのどちらかだということになる。


Knowledge base

 実は、ideaswatchを眺めていて、一番面白いと思った機能はこのKnowledge baseだ。ここには、選択されたアイデアに似たサービスへのリンクが登録できる。まずは、例を見てみよう。

 ideaswatchのアイデアで、Automatic geolocator for photo without GPS info というアイデアがある。GPS情報のついていない写真の撮影場所を探し出すサービスが欲しいというアイデアだが、もちろん、まだそんなサービスはない(と思う)。


Automatic geolocator for photo without GPS info


 Knowledge baseを見ると、WhereIsThePicture と TinEye というサービスへのリンクが登録されている。WhereIsThePictureは、GPS情報付きの写真をアップロードするとその場所の地図を表示してくれるものであり、TinEyeは画像(もしくは画像へのリンク)をアップロードすると似たような画像を検索してくれるサービスだ。


WhereIsThePicture



TinEye


 ここ(Knowledge base)で実現されているのは、競合となるサービスの調査である。アイデアに対して、競合調査をするのは意外に難しい。というのも、思いついたアイデアはついつい独自性が高いと思い込んでしまうことで、似たようなサービスを探す勢いが鈍り、なかなか探せないということになりがちだからだ。

 さらには、「似たような」という範囲をどこまで考えるかというのも問題になりうる。アイデアを思いついた本人が探すと「似たような」の範囲を狭く考えがちだ。その点、アイデアを思いついた本人ではなく、アイデアを見た人が登録するこの機能はかなり興味深い。

 もちろん、それにはもっともっとアイデアを見てリンクを登録してくれる人が増えることが必要だ。先ほどの例でも、TinEye以外にも類似画像サービスはいくつもあるが、それらのリンクがないのは、ideaswatchの利用者がまだ少ないことに起因するのだろう。

 いずれにせよ、アイデアを形にしていく上で、似たようなサービスを探し出し、理解することは重要である。自分のアイデアは、似たようなサービスと何が違うのか?こう問うていくことで、アイデアは実現に向けてより先鋭化されていく。


Network

 最後のNetworkは、アイデア実現のために協力したい人が手をあげる機能だが、まだサイトがオープンして間もない(らしい)からか、Networkに登録があるアイデアは見当たらなかった。

 いうまでもなく、アイデア実現にはNetworkが必要になるだろう。ひとりでできることは限られている。アイデアを表現した上で、いかに仲間を集められるか?これが、アイデア実現のもうひとつの条件といってよいだろう。


アイデアを実現するための近道

 さて、ideaswatchに登録されているアイデアを眺めていると、自分の経験(上の問題)に基づいたアイデアが散見される。そういえば、ネットサービスを作るときは自分が欲しいものを作るべき、という意見もよく耳にする。果たして、アイデアは自分の経験に基づいていなければいけないのだろうか?

 もちろん、必ずしもそうでなければいけないことなどはないだろう。では、なぜその方が良いとされるのか?

 これは、アイデアを実現した後のユーザの理解ということに関わっている。アイデアが自分の経験に基づけば、自分がそのアイデアを実現したときのファーストユーザになれる。ユーザとして、そのアイデアが必要になる背景を熟知していることが実現に向けた大きなメリットになる。

 もし自分の経験ではなく、他者の経験(課題)であれば、まずアイデア実現に向けて他者の経験を想像し、理解するというステップが追加されることになる。つまり、自分の経験に基づいたアイデアの方が、その実現のためには近道であるということになる。

 とはいえ、繰り返すが、そのことが必ずしも有利な条件となるわけではない。他者の経験を想像し、理解することは不可能なことではない。むしろ、他者の経験を第三者的な視点でみることで、その人が見えていないものが見える場合もある。そして、それはアイデアからより良いサービスを構築する上での大きなメリットになりうるかもしれない。近道がいつも最良の道であるとは限らないのである。


まとめ

 以上、アイデアを形にするための条件について考えてみた。もちろん、他にもあるかもしれないが、ここで取り上げた条件を最後にもういちど振り返ってみよう。

 1.アイデアを表現し、他の人の反応を議論し、その過程を観察してみる。
 2.似たようなアイデアを徹底的に探す。何が違うのかを考えてみる。
 3.そのアイデアに共感して一緒に考えてくれる仲間を探す。


 いずれにせよ、アイデアは思いついただけでは何も生み出さない。一歩を踏み出すと、多かれ少なかれ、これらの条件について何がしかを考えることになるだろう。

 もちろん、1人や仲間内だけで考えるのも悪くはない。だが、オープンな場でみんなでこれらの条件をクリアしていく道を考える、という選択肢もありうるんじゃないか。こんな選択肢を、ideaswatchは提案しているといえるだろう。


ideaswatch
http://www.ideaswatch.com/

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