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2009年7月にマザーズへ上場を果たした「CookPad(コード:2193)」がかなり好調だ。2010年4月期の決算では、売上高、経常利益ともに前年度の2倍超の業績を残している。以前のコラムでフリーであることの目的を明確化しようと書いたが、ここでは、CookPad の決算報告会補足資料(PDF)(以下、決算資料)を題材として、より具体的に考えてみよう。
以前のコラムでは、「フリーでサービスを使ってもらうことで何が得られるのか?を明確」にしようと書いた。では、CookPadは、何を得て、どうマネタイズしたのだろうか。2つの切り口で見ていく。ひとつは、マーケティング支援事業の重要性。もうひとつは、利用者目線でのモバイル活用だ。
「マーケティング支援事業の重要性」
CookPadのマーケティング支援事業については、決算資料の16ページから19ページに事例が載っているように、食品会社などの提供している商品を使ったレシピコンテストをサイト上で開催し、それを通じて、ユーザの反応をレポートするというものだ。決算資料7ページのグラフ(図1)に見られるように、2008年4月期の4Q以降、四半期で1.5億近くの売上を安定的に得ており、広告事業の2倍から3倍の数字である。2009年4月期の1Qおよび2Qの販管費(9ページ)は、このマーケティング支援事業だけで賄えている。
注意すべきなのは、マーケティング支援事業は、CookPadを利用しているユーザのアクティビティを活用しているという点だ。2008年4月期の1Qの時点で1億円近く売り上げているが、これは、この時点で月間1.5億PV、約300万ユーザ(25ページ)のアクティビティから得ている。

これが成り立つのは、ユーザによるレシピやつくれぽの投稿というアクティビティに対し、マーケティング支援事業で行われるレシピコンテストが、同じアクティビティを促すからだ。むしろ、コンテストの題材があることで、レシピは投稿しやすくなる。これがベースとなり、CookPadのフリーでの提供を支えていると言える。
つまり、フリーでサービスを使ってもらうことで、マーケティング支援事業へのユーザの協力(レシピの投稿)が得られ、それによるマネタイズおよびレシピデータの増大を図ることができるという一石二鳥なサイクルを回すことができているわけである。
「利用者目線でのモバイル活用」
CookPadは、2006年9月(2007年4月期3Q)にモバイル向けサービス「モバれぴ」を開始し、 2008年11月(2009年4月期3Q)のドコモ公式サービス化を皮切りとして、各キャリアの公式サービス化によるプレミアムサービスを提供していく。 26ページのレシピ数の推移(図2)を見ると分かるが、2006年9月はそのグラフの変曲点となっており、以後明らかに上昇率があがっている。また、20ページの有料会員数の推移からは、2009年4月期の3Qから急増していることがわかる。

レシピに特化したサイトであるから、そのターゲット層は明確である(28ページ:30代女性45%、20代女性の3人に1人が利用)。ターゲット層が明確であるがゆえに、その利用シーンもまた把握しやすい(24ページ:生活動線上で利用されるサービス)。このため、モバイルをレシピの材料を買いに行くときに使える利便性の提供という意味で、PC上のサービスに対する付加価値をつける機能のひとつとして位置づけることができている。
つまり、ターゲットに特化したサービスを提供しつつ、レシピというユーザが投稿したデータを活用してもらう方法を付加価値として提供している。データを活用するユーザが増えることにより、投稿する側のインセンティブも増えることになる。たくさんの人に見てもらえ、反応があることがわかれば、投稿する側も投稿しがいがでてくる。この好循環がレシピ数の上昇率アップにつながっていると考えられる。それは、モバイルを利用動線の一部として位置づけたことに起因しており、これは、モバイルサイトをさらなるユーザのアクセスチャネルの拡大と位置づけるのとは大きく違ったスタンスといえるだろう。
「まとめ」
CookPadが、当初からこのようなモデルを計画していたのかどうかはわからない。少なくとも以前は、コミュニティサイトにありがちなユーザ間のトラブルやレシピの盗作疑惑などの問題があったことが知られており、むしろ、様々な問題を乗り越える中で作られてきたモデルと考える方が自然だろう。ここでは、決算資料で提示されたデータだけをもとに分析したため、どうしても後付けの考察になってしまっていることはご容赦いただきたい。
それでも、CookPadが提供するサービスに関して、フリーであることの目的を分析してみると、そのサービス特性を活かしたマネタイズの2つの方法が見いだせた。いずれも、フリーでレシピを投稿・活用してもらうということがあって成り立つ方法であり、こうすることで、収益化を果たしつつ、より特化した使いやすいサービスを提供することができているのである。
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