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ソーシャルレンディング
April 13 , 2010 10:13
Ikuo Ogawa   |
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 インターネットがコミュニケーションインフラとして普及してくると、頼みたい人と頼まれる人の直接的なマッチングが可能になってくる。「ソーシャル」という言葉は、そういった直接的なやり取りのプラットフォームを指しているといってもいいだろう(もちろん、違う意味もある)。その結果、「ソーシャル○○」というサービスが増えていく。最近流行のソーシャルアプリもそういった文脈だが、今回は「ソーシャルレンディング」というカテゴリを取り上げてみる。

唐突だが、あなたが銀行に預けたお金がどう使われているかを知っているだろうか?

銀行のビジネスモデルでは、預金を集めてそれを事業者等の活動資金として融資し、それにともなう金利を収益としている。預金者はざっくり言うと、自分の現金を一時的に銀行へ預けるという行為の対価として、預金金利として受け取っていることになる。当然のことながら、どこにどれくらい融資をするかの判断に預金者は関わらない。これは、銀行の融資担当の業務だ。つまり、お金を集める(預金)という機能とお金を使う(融資)という機能は、銀行の持つ2つの機能として切り離されている。

このモデルは、想像以上に広く使われている。郵便貯金もそうだし、JA(農協)の JAバンクも同様なモデルだ。消費者金融も個人への融資機能が目立つが、融資するためにはお金を調達しており、それは結局銀行などから低金利で借りてきたお金になる。さらに広げてみると、国が徴収する税金もそうだ。時折、自分の払った税金の使い道を明らかにしたい云々の議論があるが、これもお金を集める(税金)とお金を使う機能が切り離されているから起こる議論である。

これらのモデルの大前提となっているのは、中央集権的な機構(銀行や国など)が集めたお金の使い方を判断した方が全体としては効率的/効果的だ、ということ。確かに大企業への融資や公共事業など大きなお金を動かすためにはたくさんの人から集めないと難しいだろう。実際、日本の高度成長期にはこのやり方が有効に機能したといえる。

だが、中央集権的な組織の問題点は、業務量が増えると組織が官僚化していくという点だ。扱うべき情報処理量が膨大になり、組織は肥大化していく。なんとか業務を回すためにルールが硬直化し、意思決定が遅くなり、環境の変化についていけなくなる。平たくいえば、現場が見えなくなってしまう。

この問題に対するオルタナティブな仕組みとして、「ソーシャルレンディング」は捉えることができる。つまり、中央となる組織がお金をどこに使うかという意思決定をするのではなく、お金を預けようとする個々人が何に使うかを判断するという分散処理的な仕組み、それがソーシャルレンディングだといえる。

具体的に見てみよう。米国のNPOの運営している「KIVA」というサービスがある。これは、途上国で事業(商売といった方がいいかもしれない)を始めたいという人が自分の事業と借りたい金額を登録し、それに対して個々人が融資を行うというサービスである。例えば、ボリビアでいま食料品店をやっている人が取り扱い商品を増やしたいので1,000ドル貸してほしいというリクエストに対して、25ドルを1口として貸したい人が登録していき、希望額に達したら融資がなされるという仕組みだ。

この仕組みだと、Webサイト上で自分のお金が誰にどのように使われるのかというのが明確になる。逆に言えば、自分のお金を使ってほしい人を選んで融資ができるということで、単にお金を預けるというだけでなく、自分の意思を明確に表明することが可能な仕組みになっている。個々の金額や意思は小さいが、それを集約して行くことで全体として大きな金額が動き、大きな意思となっていく、そんな可能性が垣間見える。

日本でも同様のサービスが登場してきた。2008年にサービスを開始した「maneo」や、エクスチェンジコーポレーション社の「AQUSH」である。ただ、KIVAが先進国と途上国の物価差から貸すリスクを抑えつつ、借りるメリットを大きくできるのに対し、日本国内のサービスだとその利点を享受できないという違いはある。しかし、貸し手の意思に基づいたお金の使い道を選択可能にするサービスとしては期待できる。


もちろん、使い道に関するどんな選択肢が提供されるかはこれからの問題だ。まずは、総花的なプラットフォームの提供だとしても、今後、さまざまに分類わけされてくることも考えられる。いずれにせよ、余剰資金の預け先が硬直化してしまうのではなく、柔軟で多様な選択肢の中から良いものが残っていく仕組みが提供されてくることを期待したい。



【訂正】タイトルにて、「ソーシャルレイティング」と記載しておりましたが「ソーシャルレンディング」の誤りです。該当箇所を訂正の上、深くお詫致します。(2010-04-15)

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