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私はこの10年ほどの間、計3社においてベンチャー投資に携わる機会を得ているが、金融としてのベンチャー投資と事業会社の業務の一環としてのベンチャー投資の視点の違いについて色々気づいたことがある。
これは現在私が所属する会社の視点というより、これまで仕事上で関わったさまざまなCVCの共通視点として見ていただければ幸いである。
「CVC」とは
CVCとは投資会社ではない事業会社が、自社の主たる事業としてではなくベンチャー企業に投資している形態で、通常、自社事業に何時か何らかの貢献を期待しうる企業に投資をおこなう。
投資はファンドの場合もあれば、事業会社本体または子会社でおこなうケースもある。大会社の場合は、どこかの部門の下に位置付けられており、これにより投資対象や投資を受けた会社が得られるサポートについて大きく異なる。
投資サイドから見た、通常の「VC」と「CVC」の違い
投資サイドからみた通常VC(ベンチャーキャピタル)とCVCの大きな違いは投資目的である。通常VCの投資目的はキャピタルゲインだが、CVCの投資目的は本業への貢献+キャピタルゲインである。
CVCの中には、「キャピタルゲインを重視しない」という会社もある。しかし、回収を伴わない投資は資金に相当な余裕がないと継続できず、経営者が変わったり景況悪化等の影響が出た際、事業の選択と集中のあおりで取りやめになるリスクが高い。一般的にCVCは景気が良い時に増え、悪くなると減る。
CVCから投資を受ける理由
CVCから投資を受ける理由としては、単なる資金調達ではなく、その事業会社との事業連携を期待することが筆頭に上げられるだろう(株主名簿を整えるというケースもある)。これは双方が望むことであるが、すべてにおいて実現されるわけではない。以下に理由を述べたい。
本業への貢献が大きいか?
本業への貢献とはどういうことか。貢献とはその会社もしくは事業部が抱えている数値目標に有意なプラスの影響を与えることである。
例を挙げると、売上高1,000億円で営業利益100億円の事業部だと、5,000万円の利益が出るという案件では経営リソース(人員や資金)はさけない。最低5%以上の数値は欲しいところだ。
会社の事業規模や該当する主管事業部門が大きければ大きいほどこの達成は難しい。本業への貢献度が低い案件は事業サポートが得ずらく、キャピタルゲインの確度を要求される。
大会社の場合は、投資をおこなっている部門と投資先に関係ある部門が異なる場合がある。この場合は部門調整のために本業への貢献が大きくないと事業連携は進みにくい。
日本のCVCの陣容
日系の会社は大規模なCVCがあまりなく、数人レベルでおこなっているものが多い。自社のみで手がけている会社もあれば、他のVCと組んでファンド形式や子会社を作り、運営を任せている会社もある。
投資決定に関しては、通常VCの場合と同様に投資委員会のような意思決定機関が存在する。その構成メンバーはCVCの形態により異なる。ファンド形式の場合は複数社のメンバーが参加するケースがあるが、事業会社本体や投資子会社の場合は事業会社内のメンバーで構成されることが多く、CVCの属している部門が営業系の部門や研究開発系の部門の場合は評価や投資に関する意思決定にかかわるケースが多い。
株価評価は、その会社の株が欲しいときは高く評価できるし、そうでもないときは投資がマスト(must)ではないので見送られる。
大会社のCVCに知って欲しいこと
日々走りながら事業を変化させていくベンチャーにとって、1年待てというのは受け入れ難い。交渉の長期化で経営陣の体力を使うのは会社の成長に大きな影響を与えてしまうだろう。
ベンチャーにとって事業計画と実態の乖離はほぼ絶対にあるものだ。私も10年ベンチャー投資に携わってきたが、事業計画どおりに進んだベンチャーは片手以下だろう。なのでCVCはそこを責めるのではなく、より勝機を見出すためにポジティブに協力していく姿勢が欲しいと願う。
ベンチャーに理解して欲しいこと
大会社にとってメリットのある話とは何か。それは、彼らの事業規模の「10%くらいに達する可能性がある話」ということになってくるだろう。ベンチャーもまずはそれくらいの貢献ができるかを考えて欲しい。
またCVCは対競合対策として囲い込みを目的に出資するケースもある。その場合、ベンチャーが描く事業拡張へ影響を及ぼす懸念もある。
大会社では、どの部門の誰が主管かが重要である。ベンチャーは社長=会社であるが、大企業の特定の部門はノットイコール会社なのである。
ベンチャーがCVCと投資の交渉する際のポイント
CVCと投資の話をするときは、事業会社の担当部門(ファイナンス担当ではなく)の人と合わせてもらい、彼らが期待するメリット等を見えやすくしてあげることが重要である。
彼らの興味を理解した上で期待にこたえる案を出すことにより、提携の話が進みやすくなる。
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