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「Airbnb」からみるソーシャルな信頼関係
April 28 , 2011 14:40
Kazuo Ikari   |
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共感からつくるエンゲージメント

 前回、ソーシャルコマースとはいかに共感を感じられるストーリー(そのモノに対する思い入れや、思わず人に教えたくなる情報など)を演出し、モノの価値を最大限に高めてソーシャルメディアで広げていくかが重要であると書いた。

 そのサービスやモノに共感することで、ユーザーは「顧客」から「ファン」へと変わる。これをよくエンゲージメントと言う。このエンゲージメントをいかに高めていくかがソーシャルコマースでは鍵になっていく。

 特にCtoCでの取引の場合、このエンゲージメントをつくるにあたり無くてはならないのがユーザー同士の信頼性だ。相手がどこの誰だかわからないとサービスやモノに対して共感を感じにくいし、そもそも購入しようする際に心理的なハードルが生じる。

 そこで自分の顔写真や本名、興味・関心などを公表することでそうした心理的なハードルを下げ、上手くエンゲージメントを高めて成功しているサービスがある。

 今回はその「Airbnb」というサービスを紹介したい。


ホームステイ感覚で旅行が楽しめる「Airbnb」

 Airbnb とは個人の家を旅行者の為に貸し出すサービスだ。2008年8月のスタート以来、すでに宿泊数が 100万を突破し、日本も含め 182カ国に広がっている。

 このサービスのユニークなところはなんと言っても宿泊施設だろう。デザイナーズマンションや一軒家、中にはプール付きの豪邸やお城、インディアンのテントのようなものまで、普通の旅行では体験できないような場所に宿泊できる。

 サイトを見るとどれも写真が綺麗で(実はこれらの写真はプロのカメラマンが自宅まできて無料で撮影してくれる!)見ているだけでも楽しい旅行気分が味わえる。

 価格も比較的安価なのでこれだけでも十分バイラルが広がりそうだが、Airbnbの面白いところは宿泊先を提供する人(ホスト)と旅行者の信頼関係にある。

 たとえばこれ(下のキャプチャー)はPrimeさんという人が掲載しているベルリンの1室だ。とてもお洒落な室内の写真の横に、Primeさんのフレンドリーな顔写真もアップされている。

 プロフィール欄には彼が話せる言語や出身校、現在の職業、宿泊の受け入れ率や問い合わせの返答率まで記載されているのだが、さらにその下のコメント欄では実際に宿泊した人からのレビューを見ることができる。(Primeさんの場合は好意的な意見ばかりだが宿泊先によっては辛辣な意見も見受けられるので興味のある方は本サイトで確認してみてほしい)

 そしてその横のFriendタブをクリックするとPrimeさんのFacebookの友人が表示される。AirbnbはFacebookアプリとしても登録されており、月間で約47,000人のアクティブユーザーが自身のFacebookアカウントと連携させてAirbnbを利用している。

 これらホスト本人からの自己紹介文、宿泊者からのレビューに加え、Facebookという実名ソーシャルグラフのレイヤーをかけることでホストの信頼性を証明し、旅行者の心理的ハードルを上手く下げているのだ。


ホストと旅行者が双方向でつくる信頼関係

 これらの機能やソーシャルメディアの使い方だけみると、あまり目新しさや斬新さは感じられないかもしれない。しかしAirbnbの素晴らしいところは、ホストと旅行者の信頼関係が互いの自助努力によって上手く成立している点にある。

 ホストにメッセージを送ればすぐに返信をくれるし、宿泊前に不安な点があればインタラクティブにやりとりをして解消することができる。そうしてホストが素晴らしい対応をしてくれれば、旅行者が感謝の気持ちをレビューに残してくれる。中には旅行での楽しかった思い出やどんなに良い場所だったかというエピソードまで残している人もいるので、あとに続く旅行者に「ここに泊まってみようかな」という気分にさせてくれる。

 こうしてホストと旅行者との信頼関係がレビュー上の体験談として可視化されることにより、さらなる利用者の獲得に繋がっているというわけだ。


Airbnbというソーシャルメディア

 ソーシャルコマースというと通販などモノの物販をイメージするかもしれないが、旅行のように決済までに検討を必要とするものほどソーシャルコマースに向いているかもしれない。

 Airbnbの場合、一見すると1万円前後で価格帯としては高くないが、実際には海外旅行という何十万円もする高い買い物がついてくる。宿泊先で嫌な思いをすれば旅行全体が台無しになる可能性もあり、旅行者はお金を払うのにかなり慎重になるだろう。

 そういった点でAirbnbはユーザー同士がホスト、旅行者という立場にわかれコミュニケーションをとりながら互いの信頼性を作っており、自身がソーシャルメディアとなって購入の決断を助けている。これは普通の旅行代理店や宿泊予約サイトには真似できないことだろう。

 しっかりとユーザー同士での信頼性を構築し、可視化することによりユーザー間そしてサービス自体へのエンゲージメントを高めるAirbnbの手法は他のソーシャルコマースでも活かせるのではないだろうか。


Airbnb
http://www.airbnb.com/

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